東北計画行政研究
Online ISSN : 2759-6443
原子力災害からの福島県の森林・林業の復興と再生
高野 樹川﨑 興太
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2021 年 6 巻 p. 3-12

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抄録
本研究は、福島県の森林・林業に関する被害と現状を分析するとともに、原発事故後の森林・林業に関する施策の概要や実績を整理し、福島県内の58市町村を対象として森林・林業の現状と今後の課題を明らかにすることを目的とするものである。福島県内の58市町村を対象とするアンケート調査の結果から、原発事故後10年目以降においても、福島県全域で森林・林業の再生に向けた課題が山積しており、かつ、課題は地域ごとに大きく異なることが明らかになったため、地域の実態を踏まえて多様な課題を解決する必要がある。特に、避難市町村では森林全体の除染や森林整備の実施、浜・中通り市町村と会津市町村ではきのこや山菜等の林産物の出荷制限の解除を重点的に実施することが求められる。また、福島県においては、森林・林業の再生等に向けてさまざまな施策が実施されてきたが、これらの施策は、空間線量や住民による維持・管理状況などを実施要件としており、その結果、大部分の森林が手つかずの状態になっている。そのため、施策の実施要件を検討し、福島県内の森林全域において事業が実施できるようにする必要があることを指摘する。
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© 2021 本論文著者
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