抄録
メタモデリングは, 数値シミュレーション応答と入力パラメータの間の数学的連関を構築するために使用される強力なツールであり, この連関は, 時間とコストのかかる貯留層シミュレーションの代わりに利用することができる。本研究は, パタニ盆地におけるガス攻法石油増進回収 (EOR) の評価のためにメタモデリングを使用することの実現可能性を探るものである。パタニ盆地の数千に上る貯留層に対する個別のシミュレーションは現実的でないことがその理由である。メタモデルとしては, パラメトリックメタモデルとノンパラメトリックメタモデルの2種類を構築した。パラメトリックメタモデルは実験計画法や回帰分析に, またノンパラメトリックメタモデルは交互条件付き期待値法に基づいている。これらのメタモデルならびに, シミュレーションに必要な流体および貯留層物性特性データを得る手法論の両方を検証するために, 実際のフィールドデータを用いたモンテカルロ・シミュレーションを行った。構築されたメタモデルを使用して得られた結果によれば, 圧入ガスとしてメタンを用いる場合, 水・ガスのダブルサイクル注入 (Double Cycle WAG) が最良のガス攻法EORであると結論される。この方法では, 水攻法に比べて原始埋蔵量 (OOIP) の4.4%分を多く増進回収することができる。一方メタンの代わりに二酸化炭素を用いる場合には, 水・ガスの同時注入 (Simultaneous WAG) が最良のガス攻法EORである。この方法では, 水攻法よりもOOIPの7.8%分を多く回収できる。これらの結果は, 流体および貯留層物性特性の詳細なデータに欠けるパタニ盆地の多数の貯留層において, メタモデリングによる対処の実現可能性を示すものである。