基盤岩フラクチャー型油田に対する計算機支援型ヒストリーマッチングを用いた油―ガス相対浸透率曲線と浸透率異方性モデルの校正

抄録

基盤岩フラクチャー型貯留層では, その内部に発達するフラクチャーが油ガスの流動と貯留を担っている。近年, 基盤岩フラクチャー型貯留層の開発が進み, それに対する多くの知識と技術の蓄積がなされつつあるが, フラクチャーの分布が極めて複雑であるがゆえにその評価は依然困難である。ベトナムでは石油および天然ガスの生産の95%がCuu Long堆積盆からのものであり, その内の85%が基盤岩フラクチャー型貯留層からの生産によるものである。したがって, ベトナムにとって基盤岩フラクチャー型貯留層を適切に記述し, ヒストリーマッチを行うことでより正確な油層シミュレーションモデルを構築して評価を行うことは, まさに重要で挑戦的な課題である。よく知られているように, 基盤岩フラクチャー型貯留層の相対浸透率曲線と浸透率の異方性を決定することは非常に困難である。そこで, 本研究では, 生産データからそれらを決定するための最適化アルゴリズムを開発し, Bach Ho (White Tiger) 油ガス田に対してそのアルゴリズムを導入したコンピュータ支援ヒストリーマッチによる相対浸透率曲線と浸透率の異方性の再評価を試みた。その結果, 従来のコンピュータ支援を利用しない方法に比べて実測データとの差異が小さくなり信頼性の高いシミュレーションモデルを構築することができた。しかし, さらに差異を小さくしてより正確な油層シミュレーションモデルを構築するには, さらなる研究が必要であることも分かった。