石油技術協会誌
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八森油田の貝化石
金原 均二
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1949 年 14 巻 5 号 p. 215

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抄録

大同石油會社金井敬吉氏より同社八森鑛場R16號井深度463mからの貝化石が地質調査所石油課に寄贈された。化石は保存の良いChlamys kaneh-araiで,母岸は角礫を混ずる凝灰質含砂礫泥岩であつて,普通八森油田の含油層と考えられている岩石である。母岩の沈積環境は之と互層する黒色泥岩の夫とは甚だ異なり,深度100m前後の流れの早い外洋底を推定できる。斯る状況下に沈積したと考えられる岩石が黒色泥岩と互層する事は,其岩石が二次的に再沈積したものでないと考える事が許されるならば,八森地區の地史考究上或る意義を持つ。即船川層沈積時既に斯る淺海相を示すような地形が存在していた時期があつた事を示し,地殼變動開始の時期が遲くも船川層沈積當時にまでさかのぼる事になる。この考を發展させると石油の生成,移動,集積につきあの示唆を與え,探鑛にも影響するかも知れない。

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