石油技術協会誌
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秋田県山本郡ニツ井地方の上部七座凝灰岩の砂岩夾在層の変質について
根岸 敏雄
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1976 年 41 巻 3 号 p. 131-137

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抄録

秋田県山本郡ニツ井地方には,上部七座凝灰岩と呼ばれる凝灰岩層が良く発達達している。この凝灰岩の変質鉱物は斜プチロル沸石が主であり,埋没沈下による低度変成作用および続成作用で形成されたと考えられている。しかしこの凝灰岩中に夾在される1~2Mの凝灰質砂岩には,斜ブチロル沸石が見られず,主としてモンモリロナイから成っている。また同時に凝灰質泥岩も挾在されるが,鉱物組成は凝灰岩と同じく斜プチロル沸石である。これらの母岩と含まれる変質鉱物および化学組成の間には興味ある関係が認められた。すなわち斜プチロル沸石を含むものはNa2OとK2Oに富み,モンモリロナイトを含むものはMgOとCaOに富んでいた。またこれらの変質岩の原岩と考えられる未変質の火山がラスより成る凝灰岩が,これらの地層の上部に存在するが,その化学組成は斜プチロル沸石を含むものに近い値を示した。もしこれらの変質が低度変成作用あるいは続成作用だけからであるなら,これらの作用は比較的広域的であることから,母岩が異なるとはいえ鉱物組成も化学組成も比較的近い性質を示すことになるだろう。しかるにこの地区では,砂岩挾在層だけが異なった性質を示した。また室内実験で斜プチロル沸石凝灰岩をMg状態下で処理するとモンモリナイトが形成され,同一条件でもNa状態では沸石(方沸石)が形成された。
以上のことから,この地区に見られる砂岩挾在層のみに見られるモンモリロナイトの変質は,何らかの2次的なMgの添加があったとすると容易に説明される。すなわち何らかのMg溶液の活動があり,それが選択的にポロシティーおよびパーミアビリティーの良い砂岩中をより多く通過し, Mgの添加が砂岩に集中的におこり,火山ガラスあるいはすでに形成されていた斜ブチロル沸石がモンモリロナイトに変化したと考えられた。

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