石油技術協会誌
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基盤岩フラクチャー貯留層の分布予測について
ベトナム沖の例
磯江 芳朗大野木 龍之介
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2001 年 66 巻 1 号 p. 15-25

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抄録

日本石油開発株式会社の子会社である日本ベトナム石油株式会社は,1994年に先第三系花崗岩質基盤のフラクチャー油層および第三系中新統の砂岩油層から成るランドン油田を発見した。本油田は1998年より生産を開始し,現在も生産中である。
本油田貯留層のうち,基盤岩フラクチャー油層評価については,これらフラクチャーが主に構造運動により形成されたと判断されることから,構造評価を行うことにより,フラクチャーの分布予測が可能となった。具体的には,基盤岩トップレベルにおける断層解釈および地形解析•応力解析•歪解析•マップ復元などによる構造運動の把握により,各断層の動き方や断層ブロックにおける歪分布の様式が,より明確に認識できるようになった。そしてこの認識により,どのような位置にどのようなフラクチャーが期待できるのかが解釈できるようになった。
この構造運動に基づくフラクチャー分布の概念を基に,DFNモデリングという手法により,定量評価の一環として不規則•不均質なフラクチャーネットワークモデルの構築を試みている。
このDFNモデリングは,フラクチャー分布の概念を基に,FMIイメージを主とした坑井データより摘出されたフラクチャーの三次元ネットワークモデルを構築し,そのモデルを実際の坑井のDST圧力データや生産データの再現性により校正していく手法である。
この手法によるネットワークモデルにより,従来のグリッドモデリングでは十分に表現するのが困難だったフラクチャー油層の生産•圧力挙動が比較的良く表現できるようになった。

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