日本再生歯科医学会誌
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総説
歯科における再生医療 : 現状と将来の展望
春日井 昇平
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2003 年 1 巻 1 号 p. 3-11

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抄録

歯科では口腔組織の欠損部を材料により補填し, 機能を回復する治療法がおこなわれている. 一方, 喪失あるいは機能の低下した組織や臓器を再生する再生医療が注目されている. 1920年にHermannが水酸化カルシウムを断髄面に使用したのが歯科領域での再生医療の始まりとされている. その後, 1980年代になってGTR法とGBR法が報告され, 1990年代に入って仮骨延長法の口腔領域での適用がおこなわれた. 1990年代の後半には, Emdogainによる歯周組織の再生, rhBMPによる骨増加法, PRPによる骨増加法についての臨床報告がなされた. 現在FGF2の歯周組織の再生への効果について臨床試験がおこなわれている. 一方, 歯科領域での細胞を用いた再生治療として, 粘膜の再生, 顎骨の再生, 歯周組織の再生が試みられており, さらに歯の再生プロジェクトも開始されている. 再生医療が社会に受け入れられるためには確実な治療効果と共に, 安全性と簡便性さらに経済的な利点も要求されると考えられる.

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© 2003 日本再生歯科医学会
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