抄録
コラーゲン固定化エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVA+C)添加試作石灰化誘導促進性接着材(RMSB)の接着強さと生体親和性について検討した.接着強さ試験の結果,EVA+Cの添加比率の上昇に伴い,接着強さは低下した.しかし,SBP30処理を行うことで,接着強さの低下率は軽減した.また,細胞増殖に与える影響は,初期段階ではすべてのRMSBでコントロールと同等に良好であり,特にEVA+Cの添加比率が高い群ではSB(Superbond)より増殖に与える影響は少なかった.以上より,7P(SB粉末/EVA+C = 40wt%/60wt%)が良好な接着性と生体親和性を有していることが示唆された.動物実験では,7PはSBに比べ,炎症が軽微で石灰化傾向も強かった.結論として,SBに適切な比率でEVA+Cを添加することで高い接着性と生体親和性を得られることが示唆された.