家族看護学研究
Online ISSN : 2758-8424
Print ISSN : 1341-8351
原著
Neonatal Intensive Care Unit (NICU)先輩看護師による後輩看護師への家族に対する看護実践の伝承に関する研究
伊内 さゆり石井 美里井上 玲子
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キーワード: NICU病棟, 家族看護, 伝承
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2025 年 30 巻 p. 50-61

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抄録

目的:NICU先輩看護師による家族看護実践への現状と,その伝承方法及び困難要因を明らかにする

方法:全国の周産期母子医療センターでNICU経験年数が3年目以上の看護師を対象に自作の質問紙を用いて調査した.質問紙は【家族看護実践への現状】【家族看護の伝承方法】【家族看護伝承への困難要因】3つの構成に対し基本統計・因子分析を実施し,また【家族看護実践への現状】と【家族看護の伝承方法】【家族看護伝承への困難要因】の平均値の比較,【家族看護の伝承方法】と【家族看護伝承への困難要因】の相関係数をもとめた.

結果:102名より質問紙の回収(回収率56.7%)を得た.因子分析の結果【家族看護の伝承方法】は4因子,【家族看護伝承への困難要因】は5因子で構成された.構成要素の各得点は,2.69~3.00であった.平均値の比較では【家族看護実践への現状】と【家族看護の伝承方法】の間で《自身の取り組み》と《家族看護の経験を伝える》,《職場全体での取り組み》と《後輩の状況に応じた指導》《家族看護の実践指導を行う》,また【家族看護実践への現状】と【家族看護伝承への困難要因】の間で《自身の取り組み》と《後輩教育への苦手意識》《自身の家族へ対する看護への不安》,《職場全体での取り組み》と《後輩のモチベーションの低さ》との間で関連(p<0.05)が認められた.【家族看護の伝承方法】と【家族看護伝承への困難要因】の相関では,《後輩との関係性を構築する》と《後輩のモチベーションの低さ》(-0.34),《後輩教育への苦手意識》と《家族看護の実践指導を行う》(-0.38)《経験を伝える》(-0.45)の間で負の相関を認めた.

考察:家族看護を実践している先輩看護師ほど,後輩看護師へ暗黙知を伝承しており,伝承において困難を感じていないとの結果であった.加えて,施設全体で家族看護実践に取り組んでいると回答した者ほど,後輩との関係性や後輩へのレディネスを考え伝承していた.

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© 2025 一般社団法人日本家族看護学会
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