2025 年 30 巻 p. 76-86
目的:本研究は,医療的ケア児の退院に向けた家族支援の経験のある看護師の語りから,実践した内容と,実践した意図,実践する上で意識している考えや工夫といった看護師の思考を明らかにすることを目的とした.
方法:NICUにおける看護師経験年数3年以上の看護師7名を対象に半構造化面接にてデータを収集し,質的記述的に分析した.
結果:分析結果から6つのカテゴリーが生成された.NICU看護師は,退院が決定される前から【子どもが自宅で過ごせるよう,早期から先を見据えて準備する】ことを考え家族に関わっていた.さらに,【在宅移行や障害受容に対し揺れ動く家族の心情に寄り添う】【医療的ケアの手技習得に臨む家族の気持ちを慮りながら指導する】ことを念頭に置き,在宅移行に向けて【家族が主となり医療的ケアを行えるように手技習得を支える】こと,家族全体を捉え【子どもを迎え入れた在宅生活の構築を支援する】ようにしていることが明らかとなった.
結論:NICU看護師は,医療的ケア児の在宅移行に向けた家族への支援において,子どもの障害受容や在宅移行に対する思いなど,多様な家族の心情と生活を捉え支援していた.