視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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ポスター発表
加齢及び触知経験を考慮した識別しやすい凸バーと凸点の寸法
*豊田 航
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p. 78

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抄録

 視機能の低下や欠損が生じた高齢者や視覚障害者への配慮のために、消費生活製品の操作スイッチ上に触覚の手がかりとして、凸バー(凸状の横バー)と凸点(凸状の丸い点)が付されるようになった。凸バーと凸点の推奨寸法については、2000年にJIS、2011年にIS(国際規格)の中で規定されているが、その根拠となる定量的データが必ずしも十分とは言えない。そこで本研究では、加齢及び触知経験を考慮した識別しやすい凸バーと凸点の寸法を明らかにする事を目指し、凸バーと凸点の寸法がそれらの識別容易性に及ぼす影響を評価する事を目的とした。実験の結果、年齢及び触知経験に関わらず、凸バーの長辺と短辺の差が大きいほど、凸バーを早く確信をもって正確に識別できる傾向である事が明らかとなった。一方で、晴眼高齢者では凸バーの長辺と短辺の差が3.0mm以上、晴眼若年者及び視覚障害を持つ若年者と高齢者では、その差が2.0mm以上あれば、ほぼ正確に凸バーを識別できた。これらの事から、触知経験が浅い晴眼高齢者では、凸バーを正確に識別するために、長辺と短辺の差をより大きくする必要があると考えられる。また、凸点は、エッジのRが大きく直径が小さいほど、早く確信をもって正確に識別できる傾向である事が明らかとなった。とりわけ、晴眼及び視覚障害の高齢者は、直径が大きい2.0mmの条件では、正答率が顕著に低下し、凸バーであるか凸点であるかが識別しにくい事が分かった。

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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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