著者はこれまで,分野融合的なエネルギーシステム教育のためのゲーミングをデザインし実践してきた.本研究は,90名の参加者から提出されたレポートの内容を分析し,このゲーミングの学習効果を体系的に評価する.これにより,学習目標の達成度,受講者による主体的な学びの量と質,および達成度向上のための改善点を明らかにする.ゲーミングの学習目標は,「技術選択を通じて社会からの要請に応えられるシステムを構築する視点」と「価値の対立を乗り越えて合意形成する能力・態度」の2つを養うことである.受講者の9割近くが少なくともどちらかの目標を達成しており,3分の1は両方の目標を達成していた.また,あらかじめ用意された学習目標を超えた多様な学びが観測された.これらの結果は,ゲーミングが分野融合的なエネルギーシステム教育の一翼を担えることを示すものである.さらに,こうした学習効果の詳細な分析がデブリーフィングの改良に役立つことも示された.