シミュレーション&ゲーミング
Online ISSN : 2434-0472
Print ISSN : 1345-1499
査読論文
仮想世界ゲーム電子版の「完全リモート化」について
細野 文雄柿本 敏克 安藤 香織
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 33 巻 2 号 p. 43-55

詳細
抄録

地球規模の環境問題や南北問題をシミュレートする教育・研究ゲームとして「仮想世界ゲーム」(SIMINSOC)が開発されている(広瀬1997).そこでは40人ほどのゲーム参加者が4つの地域に分かれて地域内・地域間の競争や協働を経験しつつ,経済格差や貧困問題への対処,開発やそれに伴う環境問題への対処を迫られる.25年以上の歴史を持つ評価の高い教育・研究用ゲームである.このゲームを元とし,コンピュータ上で実施できるよう開発されたのが「仮想世界ゲーム電子版」(cSIMINSOC)である(柿本・細野2010).そこでは,プレーヤーがサーバーを介したゲームインターフェイス上で「チャット」やメニュー操作を通してゲームに参加する.ファシリテーターも専用のインターフェイスを用いるため,ゲームそのものの「リモート実施」も可能である.本稿ではこの電子版の運用を「完全リモート化」する試みの詳細とともに,75人のプレーヤーが参加した4つの事例とその比較結果を紹介する.完全リモート化の長所・短所を議論した後に,コロナ禍によって盛んに行われるようになった多様なリモート活動に向けて,この試みから得られる示唆について考察する.

著者関連情報
© 2023 特定非営利活動法人日本シミュレーション&ゲーミング学会
前の記事 次の記事
feedback
Top