背景:本学では平成17年度から敷地内全面禁煙を施行している。その実効性を把握するために、学生及び職員に無記名自記式調査を実施したので報告する。
方法:学生5988名、職員1700名に無記名自記式調査紙を配布、回収した。回収率は学生48.8%、職員64.4%であった。質問は喫煙に関する知識や敷地内全面禁煙についての意識調査を中心とした。
結果:健康増進法の内容は、学生の50%、職員の25%が知らなかった。敷地内全面禁煙を施行1年を経過した現在でも、学生の12%、職員の4%は認識していなかった。敷地内全面禁煙については学生職員ともに約75%という多数が良かったと評価していた。しかし、禁煙の不徹底や吸殻の増加などの問題点も指摘された。喫煙に関する知識は、学生職員ともに約75%が経済的社会的損失を知らなかった。喫煙者の学生310人、職員151人から回答を得たが、そのうち「禁煙したくない」と答えた人はそれぞれ160人、70人であった。
結論:敷地内全面禁煙については「学生に範をたれるために職員は学内で吸わない」という学長メッセージを伝えているが、職員の喫煙者の半数は禁煙を考えず、禁煙サポートにも無関心であった。敷地内全面禁煙の体制は整ったが、今後、さらに実効性を高めるには、正しい情報の提供、喫煙者に焦点をしぼった対応が必要と思われた。