禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
禁煙継続中の非医療者が模擬患者として参加する 禁煙支援者のためのワークショップの有用性
牟田 広実 野田 隆伊藤 裕子三浦 秀史高橋 裕子
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2016 年 vol.10 巻 06 号 p. 1-6

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抄録
要 旨
背景:筆者らは、2007年からミニレクチャーと模擬患者参加型実習で構成された禁煙支援者のためのワークショップ (WS)を開催している。模擬患者参加型実習では、模擬患者を相手にシナリオに沿った形で禁煙支援を体験する。模擬患 者は、当初は禁煙支援に精通した医療者が演じていたが、現在はインターネット禁煙マラソンを使って禁煙し、禁煙後は インターネット禁煙マラソン上でボランティアとして継続的に禁煙支援をおこなっている非医療者が演じている。本調査 は、模擬患者を医療者が演じたWS(以下、医療者WS)と非医療者が演じたWS(以下、非医療者WS)のWS全体に対する参加 者の評価を比較することを目的とした。
方法:本調査は、日本外来小児科学会WS委員会が実施した匿名での参加者アンケートの結果を利用した。対象は、アン ケート結果を入手できた日本外来小児科学会年次集会の参加者(医療者WSは第19・20回、非医療者は第21・23回)であ る。アンケート項目の中から、WS参加の積極性、WSの達成度、WSの雰囲気、WSを楽しめたか、WSの満足度、参加して意識 (行動)変化があったかどうかの6項目について、医療者WSと非医療者WSの評価を比較した。
結果:参加者数は、医療者WS 35名、非医療者WS 34名であった。参加者の職種、成人・未成年への禁煙支援の経験、喫煙 の害に関する知識レベルについて、両WS間に有意な差はみられなかった。比較した項目のうち、WSの雰囲気(医療者WS 4.54±0.74 vs. 非医療者WS 4.85±0.36, p=0.03, 以下同様)、WSの満足度(4.57±0.61 vs. 4.85±0.36, p=0.02)の2 項目では非医療者WSの評価が有意に高く、WSを楽しめたか(4.65±0.54 vs. 4.85±0.36, p=0.08)の項目も評価が高い 傾向がみられた。その他の項目であるWS参加の積極性、WSの達成度、参加して意識(行動)変化があったかどうかについ ては有意な差はみられなかった。
結語:禁煙を経験した非医療者が模擬患者を演じる禁煙支援者のためのWSは、医療者が演じるWSよりも雰囲気がよく、満 足度も高くなっていた。今後も積極的に継続していきたい。
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© 2016 日本禁煙科学会
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