禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
日本語版禁煙自己効力感尺度の作成
Smoking Abstinence Self-efficacy Questionnaireの日本語版作成とその信頼性と妥当性の検討
山野 洋一 濵田 咲子岩原 昭彦野々口 陽子大野 太郎島井 哲志山田 冨美雄
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2020 年 vol.14 巻 06 号 p. 1-12

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抄録
要 旨
背景:本国は保険診療による禁煙治療を受けることができるようになったことから、禁煙治療に関するガイドラインが整備された。その中で患者の禁煙を促す、再喫煙を防止する要因として自己効力感が注目されている。また、禁煙に対する自己効力感は TTM 理論においても重要な要素となっている。しかし、日本においては禁煙に対する自己効力感を測定する尺度が見あたらない。そこで本研究は Spek ら(2013) の Smoking Abstinence Self-efficacy Questionnaire(以下、日本語版禁煙自己効力感尺度と略す)の日本語版を作成し、その信頼性・妥当性を検証することを目的とした。
方法:研究Ⅰは医療従事者 1677 名中 261 名を対象に分析し、日本語版禁煙自己効力感尺度の項目を検討した。研究ⅡはWeb 調査を実施した一般成人 2055 名中喫煙経験者 535 名を対象に分析した。作成した日本語版禁煙自己効力感尺度の因子構造を明らかにし、信頼性と妥当性を検証した。質問は日本語版禁煙自己効力感尺度、日本語喫煙意思決定バランス尺度、行動変容ステージ分類項目等から構成した。
結果:研究Ⅰは I-T 相関分析をおこない日本語版禁煙自己効力感尺度の項目数を厳選した。研究Ⅱの日本語版禁煙自己効力感尺度の因子分析では原版と同様の 1 因子が抽出された。α係数は.957 であった。また、行動変容ステージの移行に従って、日本語版禁煙自己効力感尺度の得点は系統的に変化した。この結果は先行研究と一致し、日本語版禁煙自己効力感尺度の構成概念妥当性が確認された。
結論:日本語版禁煙自己効力感尺度は信頼性と妥当性を有していることが本研究より明らかになった。しかし、本研究の分析対象者数が結論を言い切るには十分に多いとは言えないことなどから、本研究で得られた知見を参考として、より正確な分析検討を行い、本尺度の信頼性・妥当性をより精緻にする必要があると考えられる。
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