禁煙科学
Online ISSN : 1883-3926
大学における5年間の敷地内全面禁煙化が 喫煙率に与える効果
小牧 宏一 鈴木 幸子吉田 由紀那須野 順子市村 彰英新井 恵室橋 郁生
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2011 年 vol.4 巻 11 号 p. 1-5

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抄録

要 旨
背景:敷地内全面禁煙の効果についてこれまでにも報告があるが、経時的結果に統計学的に十分な検討は尐ない。
目的:本学においても2005年6月1日に敷地内全面禁煙を実施し、5年が経過してその効果について敷地内全面禁煙が学生の喫煙率にいかなる影響を与えるか、本学学生を対象とした調査から大学敷地内全面禁煙化の効果を検討する。
方法:2005年から2010年に、毎年4月に全学生を対象とした無記名・自記式調査紙調査を実施した。検討は6年間の在籍学部学生7441人、調査紙回収6947を対象に解析した。質問項目は喫煙状況、敷地内全面禁煙賛否などである。従属変数に喫煙状況(0非喫煙者、1喫煙者)を、説明変数に性別(0女子、1男子)、年齢(歳)、調査年(2005年を対照として2006年から2010年)を投入して二項ロジスティック回帰分析してオッズ比(OR)と95%信頼区間(95%CI)を求めた。統計はSPSS 19 (W)を使用し有意水準は0.05とした。
結果:二項ロジスティック回帰分析による喫煙者比率は禁煙化前の2005年を1とすると2006年はOR 0.626(95%CI 0.419-0.935, p=0.022)、2007年OR 0.549(95%CI 0.373-0.808, p=0.002)、2008年OR 0.524 (95%CI 0.361-0.758, p<0.001)、2009年OR 0.446(95%CI 0.309-0.645, p<0.001)、2010年OR 0.483(95%CI 0.337-0.692, p<0.001)で禁煙化後の各調査年でORは有意に低くなった。
結論:大学敷地内全面禁煙化実施後の喫煙者比は有意に減尐し、敷地内全面禁煙化は喫煙者を減らす事が出来た。大学敷地内全面禁煙は有効であり今後も堅持される必要がある。

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