抄録
本研究の目的は,防災教育を推進する立場の学校教員のニーズを明らかにするとともに,その学校別,経験別,地域別による特性を明らかにすることである。具体的な調査対象者は,平成21年度に実施された宮城県防災教育指導者養成研修会の受講者である。結果の要点を以下に示す。
1)防災教育を推進するにあたり,「校長,教頭,教務主任等の防災教育に対する理解と協力」が最重要視され,「重要性が非常に高い」と「重要性はやや高い」を合わせた回答率が90%を超えた。
2)防災教育支援教材のニーズについては「防災教育に関する情報を共有化するためのホームページ」が,防災教育支援人材のニーズについては「学校周辺の地域性を考慮した講義ができるゲストティーチャー」がそれぞれ最も高く,この2項目については「重要性が非常に高い」と「重要性はやや高い」を合わせた回答率はいずれも80%を超えた。
3)防災教育プログラムについては,「重要性が非常に高い」と「重要性はやや高い」を合わせた回答率が80%を超えたニーズは,「学校周辺の地域性が考慮された防災教育プログラム」と,「災害種別ごと(地震,津波,洪水など)の防災教育プログラム」であった。
以上のことから,学校における防災教育を推進していくためには,地域性が考慮された防災教育プログラムと,その支援システムとしての地域の防災情報共有プラットフォームの必要性が示唆された。大学や企業等の新しい知見や確かな理論に裏付けられた豊かな教育実践を行いたいとする教育者側のニーズに応えていくためには,教育委員会や学校だけでは限界があることから,学校現場との繋ぎ手機能を有する産学官連携に基づいた防災教育支援のための地域のコンソーシアムを構築することが一つの有効な解決策になると考えられた。