抄録
本研究は、小学校3年生児童の対人認知の特徴を明らかにすることを目的に行われた。特に、見知らぬ他者からの援助要請場面を対象として、相手からの要請を断る時と断らない時の基準を分析した。その結果、援助要請を断る時は犯罪者のステレオタイプに基づいた判断をしやすいが、断らない時は知人であるかや要援助者のステレオタイプに基づいた判断をしやすかった。また児童なりの素朴な信念から他者の意図の推測をしている事例も抽出された。考察では、外見的特徴に影響されないことや推論の誤りに気づくことのできるような安全教育の有効性について議論した。