抄録
近年、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の発展と普及によって、特に若者の間でのSNS利用に関わるリスクテイキング行動が増加している。リスクテイキング行動へのリスク認知は、その行動を回避するかどうかの決定に影響を与えると考えられる。本研究では高校生を対象に、SNSの利用に関するリスクテイキング行動の経験やリスク認知に関する調査を実施した。対象者はWeb調査会社によってモニターとして登録された500名の高校生(250名の男子と250名の女子)であり、有効回答数は480名であった。
学生の90.2パーセントがSNSの利用を経験していた。また44.4%はリスクテイキング行動の被害を経験し、24.8%は加害の経験者であった。リスクテイキング行動の加害経験者であった高校生は、他の高校生よりもリスク認知が低かった。しかしリスクテイキング行動の被害経験とリスク認知との間には関連がみられなかった。リスク認知と安全なSNS利用に関する知識得点、学習体験、リスク回避可能性の認知との間で、有意な正の相関がみられた。SNS利用におけるリスク回避可能性を高めるためには、知識を獲得するだけでなく、リスクテイキング行動に関するリスク認知を高めることが重要である。