抄録
学校教諭,特に養護学校に勤務する腰痛症は頻度が高い。作業関連疾患の一つとして対応する必要がある。今回,養護学校に勤務する教諭と,学校に勤務する事務職員,用務管理職員を対象として,その職業背景要因を比較検討した。養護学校教諭の腰痛既往は93%で,事務作業員は66%,用務員は57%であり,全般的に高率であるが,特に教諭の発症率は極めて高い状況にあった。教諭の発症起点は腰椎捻挫,いわゆるギックリ腰で,中腰姿勢,前屈み姿勢での作業,子供を抱きかかえるなどの無理な姿勢が要求される作業で発生していた。発生は赴任1年目のことが多く,発生後は個々に作業方法,姿勢に留意し,体力強化に努めているが,通院療養を行っている者も多く,赴任時の労働衛生教育を充実させることが必要だと思われた。