Journal of JASME : research in mathematics education
Online ISSN : 2433-3034
Print ISSN : 1341-2620
The Emergence of Mathematical Fictionality from Real World Models
Tetsuro SASAKI
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2005 Volume 11 Pages 25-31

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 数学の架空性は,数学が発展する上で,重要な役割を担っている。そのため,子どもが数学を学習するときに,理解できなくなる難所になることが多い。数学学習の過程において,どこでどのように架空性が生まれるのかを考察した。中学校1年生が「一次方程式」を学習する中で,「架空性」の問題が生じた事例を取り上げた。「創発モデル」の理論における「意味の連鎖」を用いて,それを分析した。その結果,「記母」が「記子」に結びつく過程,つまり記号化の過程の中で,架空性が生まれることがわかった。つまり,それぞれの記号化の中では,何らかの架空性が生じているのである。したがって,学習内容が現実的か架空的かは,本質的に個々人が,そのことを認識するかどうかに依存している。つまり,相対的なものである。また,架空性そのものが,必ずしも理解困難とは限らない。記号化が理解の助けとなることと同様に,数学的理解の助けになることもある。さらに,数学の学習において必ず現実的なモデルから始める必要はない。創発モデルは,個々の単元の中だけで,構想されるべきではない。数学の長期にわたる学習を全体論的に想定すべきである。
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© 2005 Japan Academic Society of Mathematics Education
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