看護教育学研究
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看護実践場面における研究成果活用の概念化 : 病院に就業する看護師の経験を通して
野本 百合子舟島 なをみ定廣 和香子
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2004 年 13 巻 1 号 p. 23-36

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抄録

本研究の目的は、病院に就業する看護師の研究成果活用を説明する概念の創出により、研究成果活用に関わる経験の総体を明らかにし、その特徴を考察することである。研究方法論には看護概念創出法を用い、半構造化面接法により研究成果活用経験を持つ看護師12名からデータを収集した。持続比較分析の結果、看護実践場面における看護師の研究成果活用経験は、次の7概念により説明できることを示した。7概念とは、【I.問題解決への責務実感による科学的知識の希求】、【II.研究成果との遭遇による活用への興味触発】、【III.研究成果の質査定による採用可否の決定】、【IV.研究成果導入への環境調整と方法の具体化】、【V.障害克服に向けた導入方法修正と新たな研究成果探索】、【VI.効果査定による研究成果の活用促進と放棄】、【VII.研究成果の意義実感による活用過程公開と活用継続】である。これらの概念を考察した結果、研究成果活用を実現する看護師は、看護実践の根拠として科学的知識を意味づけ、現実の看護実践と関連づけるとともに、効果的な科学的知識の活用に向け柔軟に対応するという特徴を持つことを示した。また、実践への研究成果活用を通してその効果を実感し、科学的知識の活用を価値づけるという特徴を持つことを示した。

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© 2004 日本看護教育学学会
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