抄録
本研究の目的は、大学院進学に至った中堅看護師の職業経験を表す概念を創出し、その特徴を明らかにすることである。研究方法論には看護概念創出法を適用し、半構造化面接法を用いて看護師15名からデータを収集した。分析の結果、大学院進学に至った中堅看護師の職業経験を表す15概念を創出した。それは、【看護実践難渋から円滑化への移行】【経験累積に伴う新たな役割負担と役割遂行に伴う職業への意欲向上】【学習継続による不足知識と技術の修得】【職業活動と私的活動の両立困難と両立】【職場環境への順応と順応に伴う惰性での業務反復】【模範とする看護師との出会いと模範への同一化】【専門的知識技術活用不可による多職種協働困難と活用による協働】【目標設定と達成の反復による目標水準向上と目標喪失による就業継続への迷い】等である。考察の結果、大学院進学に至った中堅看護師の職業経験の特徴を6側面導出した。そのうち、大学院進学に至った中堅看護師が、目標の設定と達成を繰り返し徐々に目標の水準を上げるという特徴は、看護師の目標設定の重要性を示唆し、職業上の適切な目標設定に向けた支援の必要性を示した。