看護教育学研究
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手術室配属となった新人看護師が知覚する仕事に関する就職前のイメージと就職後の実際の相違
松浦 一恵亀岡 智美
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2015 年 24 巻 1 号 p. 69-84

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抄録

研究目的は、手術室配属となった新人看護師が、何に対し「仕事に関する就職前のイメージと就職後の実際の相違」を知覚しているのかを解明し、その知覚の特徴を考察することである。全国196病院に勤務し、新人看護師として手術室配属となった経験を持つ臨床経験4年未満の者954名を対象に、郵送法による調査を行なった。測定用具には、対象者背景と「仕事に関する就職前のイメージと就職後の実際の相違」に対する知覚を問う自由回答式質問を含む質問紙を用いた。454名(回収率47.5%)から質問紙を回収し、自由回答式質問に回答していた186名の記述をBerelson, B.の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いて分析した。その結果、【患者や家族との相互行為機会や時間の多少、その獲得の難易】等の手術室配属となった新人看護師が知覚する「仕事に関する就職前のイメージと就職後の実際の相違」を表す30カテゴリが形成された。Scott, W. A.の式に基づき算出したカテゴリ分類の一致率は、看護学研究者2名ともに92.3%であり、30カテゴリが信頼性を確保していることを示した。30カテゴリと文献との照合は、手術室配属となった新人看護師による「仕事に関する就職前のイメージと就職後の実際の相違」の知覚が、6つの特徴を持つことを示唆した。周囲の看護師や医療従事者がこのような特徴を理解し支援することは、手術室配属となった新人看護師の学生からの役割移行、職場適応や就業継続を促進する。

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© 2015 日本看護教育学学会
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