スポーツ精神医学
Online ISSN : 2436-1135
Print ISSN : 1349-4929
原著
レジリエンスを媒介変数としたスポーツ活動参加による自己成長感促進モデルの検討
八田 直紀清水 安夫
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 11 巻 p. 60-67

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抄録

本研究では、「スポーツ活動参加がレジリエンスの発達・促進を介して自己成長を導く」という仮説を設定し、スポーツ活動参加、レジリエンスおよび自己成長感の関係性を検討することを目的とした。健康・スポーツに関する授業を履修する大学生425名(男性168名、女性254名、不明3名、平均年齢19.16歳、SD=1.16)を分析対象とし、質問紙調査を集合調査法にて行った。調査内容は、大学生版自己成長感尺度の原案、運動参加形態評価尺度、大学生版日常生活レジリエンス尺度であり、探索的因子分析、相関分析および共分散構造分析を行った。探索的因子分析の結果、1因子10項目で構成される大学生版自己成長感尺度が開発された。相関分析の結果、運動参加、レジリエンスおよび自己成長感の間に、複数の有意な正の相関関係が認められ、共分散構造分析の結果、「運動参加」からレジリエンスを構成する「個人内資源」および「社会的資源」へのパス係数、「個人内資源」から「自己成長感」へのパス係数は有意であった。これらの結果から、スポーツ活動参加がレジリエンスにおける個人内資源を発達・促進させた結果として、自己成長を導くような認知的思考や行動を誘発することが推察された。

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© 2014 日本スポーツ精神医学会
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