動脈硬化
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老年者急性心筋硬塞における血清酵素値の臨床的意義
ことに硬塞の大きさ, ならびに予後との関連について
上田 慶二杉浦 昌也蔵本 築松下 哲平岡 啓佑大川 真一郎沖本 孝雄三船 順一郎鎌田 千鶴子桑島 巌内山 集二中野 忠澄竹越 国夫田渕 正康金子 たづ子伊藤 雄二村上 元孝大津 正一嶋田 裕之
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1975 年 2 巻 4 号 p. 273-277

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抄録
老年者の急性心水筋硬塞例25例 (平均年齢76.3歳) の急性期における血清酵素値 (GOT, CPK, LDH) と合併症, 予後との関係を検討した.
発作後2週間以内に死亡した重症例 (A群, 10例) の60%では, GOT最大値が正常上限値の3倍以上の上昇を示したのに対し, 15日以上1年以内の期間に死亡した例 (B群, 7例) では全例3倍未満のレベルであり, また生存例 (C群, 8例) では全例2倍未満のレベルであった. CPK最大値と予後との間にも, GOTにおけるのとほぼ同様の傾向を認めたが, LDHについては明確な関係を認めなかった.
剖検しえた貫壁性心筋硬塞14例 (前壁, 前中隔, 前側壁硬塞計10例, 後壁硬塞4例) において概算した硬塞心筋量と急性期GOT最大値の間に, r=0.758の相関を認め, 血清酵素レベルより硬塞の大きさを臨床的に推定し, 予後や合併症についても予測しうることを示した.
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© 一般社団法人 日本動脈硬化学会

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