抄録
健常小児を対象にアポE表現型とアポ蛋白値の関係について検討した. 対象は中学1年生(12~13歳)289名(男児145名・女児144名). アポE表現型の頻度は, E3/3; 69.9%(202名), E4/3;18.7%(54名), E3/2;9.0%(26名), E4/2;1.4%(4名), E4/4; 0.7%(2名)であり, E2/2はみられなかった. E4(E4/4, E4/3), E3(E3/3), E2(E3/2)の3群について, 体格指数, 血圧, アポ蛋白値を比較検討した. 身長, 体重, 肥満度, 血圧に3群間に差はなかった. アポB, アポB/AI比は3群間に有意差を認め, E4, E3, E2の順に高値であった. アポAIは, 有意差はないが, E4, E3, E2の順に低値であった. 以上より, アポE4はE3, E2に比べてアポ蛋白の動脈硬化促進性の変化が強いものと思われ, アポE表現型はgenetic factorとして小児期からの動脈硬化予防に重要な情報を与えるものと考えた.