動脈硬化
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Endothelial Cell-Derived Oxidized LDL, Minimally Oxidized LDLとSuperoxide Dismutaseとの相互関連についての検討
中村 尚志生沼 利倫山田 勉
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1998 年 26 巻 2 号 p. 53-59

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抄録

酸化された低比重リポ蛋白 (LDL) は, 動脈硬化性病変発生と進展に重要な役割をはたしている. 今回, われわれは内皮細胞誘導性酸化LDL (EC-OxLDL) を作製し, 1)このEC-OxLDLの平滑筋細胞の増殖能と遊走能におよぼす影響, 2) minimally oxidized LDL (MmLDL) の血管内皮細胞におよぼす影響, 3) 抗酸化酵素であるcopper-zinctype superoxide dismutase (Cu-Zn・SOD) の1) 2) におよぼす影響を明らかにするため, 細胞培養法により検討した. LDL酸化の指標はthiobarbituric acid-like substances (TBARS) 値で判定した. その結果, EC-OxLDLは平滑筋細胞の増殖と遊走を促進した. 一方, 内皮細胞についてみると, MmLDLは内皮細胞数を有意に減少させた. Cu-Zn・SODはEC-OxLDLによる平滑筋細胞の増殖と遊走, MmLDLによる内皮細胞傷害を有意に抑制した. しかし, Cu-Zn・SODは内皮細胞接着因子の発現を抑制しなかった. また, 内皮細胞誘導性のLDL酸化により産生されたTBARS値はCu-Zn・SODにより抑制された. Cu-Zn・SODは, 1) MmLDLの内皮細胞傷害作用, 2) EC-OxLDLによる血管平滑筋細胞の増殖・遊走能促進, の両方を抑制することにより, 動脈硬化の進展を抑制する可能性が示唆さた.

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© 一般社団法人 日本動脈硬化学会
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