抄録
流体計算において物体に作用する空力特性並びに圧力特性の予測精度を向上する上で重要なことは物体周りの乱流場に対する再現性である。物体周りの流れ場のような複雑乱流場に対しては、乱流場でのエネルギー散逸効果をSGSモデリング(格子以下の乱流モデリング)として物理的に評価できるLESが有効である。既往の研究では、LESにおけるSGSモデリング・数値粘性評価は空力特性について実験値の整合性を検討するに留まっており、流れ場に対する影響については未解明である。本来、LESによる物体周りの流れ場への適用性の吟味は、SGSモデルの物体後方の複雑乱流場への影響を明らかにし、その上で、物体周りの流れ場と空力特性の関連性を議論する必要がある。本研究はRe=2,000及び20,000での一様流中下に設置された二次元角柱周りの流れ場に対しLES並びにPIVを実行することで、LESにおけるSGSモデルリング・数値粘性の複雑乱流場に対する影響をPIVによる流れ場と比較することで明らかにし、更に、流れ場と空力特性との関連性を検討するものである。