抄録
1997年から2006年までの10年間に発生した竜巻の調査データを集計して、近年わが国で発生する竜巻の特徴を発生頻度、強度、総観規模の擾乱と発生位置の関係について調べた。竜巻の平均発生数は20.5個であるが、2006年は40個を超えて、他の年より突出していた。Fスケールによる竜巻強度はF0スケールを除き米国の調査と同じ割合であった。台風に伴う竜巻は最大風速半径により規格化すると、殆どがその5倍以内の領域に存在していた。また、温帯低気圧に伴う竜巻は、寒冷前線周辺に多く発生し、寒冷前線近傍のFrontal regionと暖域のPre-frontalの領域での発生割合は4:6であった。