その4では,付加質量係数を用いて導いた無次元流速に対する応答曲線は構造物の密度によらず同一直線上に来るという考え方に基づいて,渦励振が発現する無次元流速の推定を行った。付加密度比は応答変位が同値であれば同値を示し,スクルートン数や構造物の密度比など,他の空力振動パラメータに依存しない。また,前述の直線において応答値が0近傍では,無次元流速はストローハル数の逆数にほぼ等しくなる。これらの事実より発振無次元流速が定量的に推定できる。この推定法に基づけば,空力振動実験を実施しなくても構造物の渦励振が発現する流速を推定できる可能性を示した。