抄録
k-e 型2方程式モデルを基礎として開発されてきた従来のCanopyモデルでは、エネルギー散逸率e の輸送方程式の付加項を気流障害物の幾何学的長さスケールの関数として表現し、幾何学的長さスケールと障害物により分解された渦の長さスケールℓを関連付けるモデル係数Cpeが導入されている。従来の研究では、実験と解析の風速や抗力等の比較からCpeが間接的に推定されており、建物群内部の乱れの長さスケールを求め、その値から直接Cpeを推定した例は全くない。そこで本報(その1)では、LES解析から得られた結果から、コンシステントスキームを用いて乱流エネルギーkやエネルギー散逸率e等の高次の乱流統計量を高精度に推定する手法を示し、これらを用いて乱れの長さスケールを推定する方法を示した。