p. 227-228
近年、次世代気象モデルWRFが様々な理工学の分野で利用され始めている。これを都市気候の解析に用いるためには、都市部における地表面熱収支を構成する要素の配分が正しく再現される必要がある。本報では、WRFを用いて、夏期の晴天日を対象に仙台周辺の局地気象の解析を行い、地中温度の初期値・境界値が地表面熱収支構造へ及ぼす影響について調べた。NCEP Final Operational Global Analysis dataによる地中温度の初期値・境界値は実測値に比べ低く、解析開始後数日は対流熱伝達を小さめに、地中への熱伝導量を大きめに評価していたが、地中温度の初期値・境界値を実測値へ変更することにより、正味放射量に対する対流熱伝達および地中への熱伝導量の配分は実測結果に近づき、大きく改善することができた。