抄録
2006年の佐呂間町の竜巻以来,日本で発生する竜巻等の突風による被害に対する危険性が再認識され,竜巻等の突風の発生頻度や海岸線で頻発する統計的性質等が明らかにされてきた。一方,米国では,より的確な被害実態把握を目的として,藤田スケールの修正が行われ,現在Enhanced Fujita Scale(EF scale)1)として用いられている。日本でも,発生や被害実態を精度よく把握し,防災や危機管理に反映させるために,気象庁を中心とする藤田スケールの再検討が行われている。 本報告では,日本特有の状況を考慮した日本版改良藤田スケールを構築するため,工作物等の非建築物を対象に,被害指標(damage indicator, DI)を抽出した。さらに各被害指標に被害程度(degree of damage, DOD)を設定し,竜巻等の突風のスケーリングに対する被害情報の適用方法を明らかにすることを目的とする。その際に,被害程度に応じた風速の期待値(標準値, EXP),上下界値(UB, LB)を評価することになるが,その算定の原則的な考え方を検討する。