抄録
人体の体温調節モデルを用いて、気流の増加が生活者の暑熱緩和に寄与しない温湿度条件を探索した。体温調節モデルにはGaggeらのTwo-nodeモデルを用いた。本解析では、同モデルを種々の熱環境条件に60分間曝露後の解析結果より得られる人体温熱生理反応に関わる諸量の値に基づき、適用限界を評価した。解析の結果、皮膚表面からの全熱(顕熱・潜熱)の流入が生じる高温かつ高湿度な環境条件下(例えば、作用温度40°C以上で高湿な状態、または作用温度45°C以上で湿度50%以上)において通風の暑熱環境緩和効果の適用限界が生じる事が明らかとなった。