2017 年 18 巻 p. 24-30
液体クロマトグラフィー/質量分析計 (LC/MS) を用いたメタボロミクスでは、生体試料中代謝物のカタログ化を目指し、プロダクトイオンスペクトル(MS/MSスペクトル)に基づく代謝物アノテーションが試みられている。その基盤としてMassBankが収集した標準化合物データが重要な役割を果たしてきた。本稿では、代謝物アノテーション法をさらに発展させる試みの一つして、プロダクトイオンスペクトルの構造情報をMS/MS文字列とその正規表現として記述する方法を紹介する。代謝物アノテーションの情報処理要素技術である、プロダクトイオンスペクトルの品質評価、類似性検索、検索結果の品質評価、化合物オントロジーによる部分アノテーションに再検討を加え、解決すべき課題の抽出を試みる。