カタボライト活性化タンパク質(CAP)と環状AMP(cAMP)の複合体は、DNAに特異的に結合し、ラクトースオペロンの転写を活性化するが、CAP単体では活性化能はない。本研究では、CAPとcAMPの相互作用が、CAP中のアミノ酸置換でどのような影響を受けるかを明らかにする目的で、CAPおよびその変異体とcAMPの複合体の安定構造を古典分子力場で求め、その構造に対し、半経験的分子軌道法により、CAPとcAMP間の結合エネルギーと電荷分布を解析した。その結果、CAPとcAMP間の結合エネルギーは、CAPの72番アミノ酸(グルタミン酸)を他のアミノ酸に置換すると増大し、82番アミノ酸(アルギニン)を置換すると減少する結果を得た。