抄録
これまでの鉄道盛土の耐震性評価は,特定の作用力と抵抗力を用いて確定論的評価を実施してきた.しかしながら,実際には,地盤物性には大きなばらつきがあり,地震の発生頻度,発生規模,発生場所にも大きなばらつきがある.本研究では,まず,1996年から観測されている強震観測網を用いて,日本全国の地震発生確率のハザード評価を実施した.次に,典型的な鉄道盛土を対象に信頼性解析を実施して,特定の地震動の大きさに応じた鉄道盛土の限界状態超過確率を算定して,フラジリティ評価を実施した.最後に,上記のハザード評価結果とフラジリティ評価結果を用いて,鉄道盛土の地震時確率論的リスク評価を実施して,地震リスクを全国地図にマッピングした.