2021 年 36 巻 p. 125-132
自然由来重金属等を含有する掘削物を保管,利用する際に,掘削物から溶出する重金属等の地下浸透を抑制する工法として,重金属吸着能を有するジオシンセティックス材を掘削物の下に敷設する工法が提案されている.本研究では,重金属吸着能を有する不織布の水分保持特性を実験的に評価し,一次元不飽和浸透流解析により一般的な適用条件下において浸透水が流下する時間(保持時間)の範囲を推定した.その結果,保持時間が短い場合には数分から数10分オーダーとなること,およびジオシンセティックス材の下部層の浸透特性が保持時間に大きな影響を及ぼすことが示された.さらに,想定される固液接触時間での吸着性能をバッチ吸着試験によって評価し、固液接触時間によってひ素吸着量は大きな影響を受けることが明らかになった.