抄録
ジオグリッドにより補強された実物大盛土(高さ6.25m、のり面勾配1:0.2、盛土材:乾燥砂)を築造し、予めジオグリッドに巻き付けていたニクロム線に通電することによって、ジオグリッドを順次切断した。盛土中のジオグリッドの補強力の減少に伴って、盛土は不安定状態へと移行し、最終的には土中の全てのジオグリッドを切断した後に崩壊した。
本報告ではジオグリッドの切断の各段階での挙動を逐次観測し、従来の極限釣り合い法による事後解析を行い、崩壊現象の検討を加えた。盛土体内の補強力のない状態における崩壊現象を説明するためには、のり面工である土のうとジオグリッドのサンドイッチ状の壁体部(幅70cm)について、疑似もたれ擁壁としての作用力を評価する必要があるという新しい知見を得た。