ジオシンセティックス論文集
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補強土擁壁の地震時安定性に関する傾斜・振動台実験
渡辺 健治古関 潤一舘山 勝小島 謙一Yulman Munaf
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1999 年 14 巻 p. 110-119

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抄録

阪神淡路大震災において、重力式擁壁などの従来型擁壁の被害が甚大であったのに対して、補強土擁壁は軽微な被害にとどまったと報告されている。本研究では、補強土擁壁の地震時安定性を検証するために、補強領域の異なる3種類の補強土擁壁模型、および従来型の擁壁模型を作成し、傾斜実験、正弦波加振実験、不規則波加振実験を行った。その結果、低い水平震度においては、補強土擁壁は従来型擁壁とほぼ同様に変形したが、水平震度が高くなると、従来型擁壁は一気に変位が進展するのに対して、補強土擁壁では変形は一気に進展せず、粘り(靭性)を示した。また3種類の補強土擁壁間では、補強領域が長いものほど安定性が向上したが、補強材の一部だけを延長した場合でも大きな耐震性向上が見られた。背面地盤の破壊状況は実験方法によって変化したが、補強領域を貫く滑り面は観察されず、また補強領域はせん断変形し、現行の設計指針の仮定とは異なる結果が得られた。

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© 国際ジオシンセティックス学会日本支部
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