2014 年 20 巻 1 号 p. 26-31
2001年1月から2011年12月の11年間に当院で施行した単独冠動脈バイパス術(CABG)連続971例のうち,術前Cre 1.5 mg/dl以上の123例を対象とし,慢性透析59例をHD群,その他64例を非透析(non HD)群とした.手術時の年齢はHD群65.5±9.1歳,non HD群68.8±8.3歳(p=0.03)とHD群が若く,HD群では心拍動下CABGの割合が低かった(83.1% vs 95.3%:p=0.03).手術死亡はHD群1例(1.7%),non HD群1例(1.6%),在院死亡はHD群2例(3.4%),non HD群4例(6.3%).全累積生存率(HD vs non HD)は1年:85.1% vs 88.5%,3年68.7% vs 69.3%,5年45.4% vs 64.0%.また心臓死回避率は1年:92.3% vs 98.4%,3年82.8% vs 98.4%,5年61.4% vs 98.4%とHD群で有意に低い傾向があった(p<0.05).心イベント(心不全,再血行再建,致死的不整脈)回避率(HD vs non HD)は1年:92.4% vs 86.2%,3年81.4% vs 83.5%,5年56.4 vs 79.7%で有意差を認めなかった(p=0.54).心臓関連死は透析群に多い傾向にあったが総死亡では両群に有意差は認めなかった.非透析例でのCABGは心臓死回避に関して優れていたが,他疾患での死亡が多く,心血管病変以外も慎重なフォローが必要であると考えられた.