日本冠疾患学会雑誌
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原著
抗血小板剤2 剤併用療法中の冠動脈疾患症例における腎機能と血小板凝集機能検査の検討
永田 義毅徳久 英樹本道 俊一郎木下 正樹油谷 伊佐央平澤 元朗丸山 美知郎臼田 和生
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2015 年 21 巻 3 号 p. 195-202

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抄録
【背景】抗血小板剤の作用が減弱した冠動脈疾患症例は心血管イベントの発生率が高く予後不良である.慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)症例では,抗血小板剤の効果が減弱することが報告されている.【目的】今回我々は冠動脈疾患を有する抗血小板剤2 剤併用療法の日本人における腎機能と抗血小板作用の関連について検討したので報告する.【方法】対象は低用量アスピリンとクロピドグレル75 mg/日を30 日以上投与されている冠動脈疾患198 例.Control 群(eGFR≥60 ml/min/1.73 m2, N=118)と中等度CKD 群(eGFR 30–60 ml/min/1.73 m2, N=65),高度CKD 群(eGFR<30 ml/min/1.73 m2, N=15)の3 群に分類した.血小板凝集機能検査(光透過光量法)を用いて最低凝集惹起濃度(platelet aggregately thresould index; PATI)を測定し,3 群間で比較検討した.【成績】平均eGFR は,Control 群77.2±14.2 ml/min/1.73 m2,中等度CKD 群48.3±8.5 ml/min/1.73 m2,高度CKD 群9.9±7.8 ml/min/1.73 m2 であった.ADP を惹起物質としたPATI はControl 群(3.66±0.73 µM)に比して,中等度CKD 群(3.28±0.99 µM)と高度CKD 群(3.03±1.32 µM)が有意に低値であった(p<0.05).【結論】中等度および高度腎機能低下症例ではクロピドグレルの効果が減弱した症例が多いことが認められた.腎機能低下例ではクロピドグレルによる抗血小板剤の効果が減弱している例がいるため,注意が必要である.
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© 2015 日本冠疾患学会
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