日本冠疾患学会雑誌
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原著
左回旋枝閉塞中の心電図変化パターンの解析
岡野 光真加藤 貴雄猪子 森明
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2016 年 23 巻 1 号 p. 6-11

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抄録

【背景】検査の進歩にもかかわらず,左回旋枝 (LCX) が責任病変の急性冠症候群 (ACS) の診断はむずかしい.【目的】LCX閉塞時の心電図変化の特徴を明らかにするために,LCXの狭窄病変に対するバルーン閉塞中の心電図変化を観察し,逆に心電図変化から灌流域を推定できるか否かを後ろ向きに検討することを目的とした.【方法】当院で2013年4月から2014年2月までに施行したLCXの非閉塞性病変へのPCIを施行中の心電図変化について,冠動脈造影から推定される灌流域と比較し,Cabrera配列を利用して灌流域を推定できるか否かを検討した.【結果】20例のLCXのPCI症例のうち,14例 (70%) でI, aVL誘導の変化,5例 (25%) でII, III, aVF誘導の変化,9例 (45%) でaVR誘導の変化を認めた.6例では心電図変化を認めなかった.バルーン閉塞中に心電図変化を認めた14例のうち11例で,冠動脈造影検査で評価した灌流域を推定でき,陽性的中率0.786 (95%CI: 0.652-0.786) だった.【結論】左回旋枝のバルーン閉塞中は多彩な心電図変化を示し,典型的な側壁誘導だけでなく,下壁誘導やaVR誘導の変化も認めた.Cabrera配列を利用した灌流域の推定が可能であった.

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© 2016 日本冠疾患学会
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