日本冠疾患学会雑誌
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原著
内視鏡下大伏在静脈採取術の早期および中期成績
従来法との比較検討
松山 重文今水流 智浩中川 かおり陳 軒佐賀 俊文池田 司太田 浩雄尾澤 直美西村 健二飯田 充下川 智樹
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2018 年 24 巻 3 号 p. 125-130

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抄録

【目的】内視鏡下大伏在静脈採取(EVH)は,従来のオープン採取法(OVH)とくらべ創合併症がきわめて少なく,早期成績は同等であることが報告されているものの,中期成績が劣るという報告も散見される.今回当院におけるEVHの早期および中期成績をOVHと比較検討した.【対象と方法】2009年9月から2016年12月に施行した待機手術の冠動脈バイパス術で大伏在静脈グラフトを使用した320症例を,EVHで採取した149例とOVHで採取した171例の2群に分け死亡率,主要合併症,早期開存率,創合併症および5年生存率を比較検討した.【結果】手術死亡率はEVH群2.0%,OVH群1.8%と有意差を認めず,静脈採取部の創合併症の発生率はEVH群0.6%,OVH群11.1%とEVH群で有意に良好であった.大伏在静脈グラフトの早期開存率はEVH群89.4%,OVH群90.2%と有意差を認めなかった.5年生存率はEVH群82.7%,OVH群78.2%,5年の心臓および脳血管事故回避率はEVH群51.2%,OVH群59.5%といずれも有意差を認めなかった.【結論】EVHは採取部の創合併症の発生率がきわめて低く,早期および中期の手術成績はOVHと同等であった.低侵襲グラフト採取法の1つとしてEVHは習得すべき手技の1つであると思われた.

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