抄録
【背景】急性心筋梗塞(AMI)後の心臓自律神経と不安抑うつは予後規定因子である.これに対し心臓リハビリテーション(CR)は有効な治療である.またβ遮断薬も心疾患の予後改善効果が期待できる.【目的】急性期CR の心臓自律神経機能や不安抑うつへの効果,及びβ遮断薬の効果を検証する.【対象】AMI にてCR 実施し退院した患者.【方法】CR 開始時と退院時に心拍変動(HRV)とHADS を評価した.各指標の開始時と退院時比較,及びβ遮断薬使用の有無による比較を行った.【結果】対象は40 名(β遮断薬+23 名,β遮断薬–17名).終了時のHRV に改善を認め,不安も減少した.β遮断薬使用で有意に副交感神経機能が高かった.【まとめ】急性期CR により自律神経機能と不安・抑うつに改善傾向を認め,β遮断薬により副交感神経機能向上と不安軽減を認めた.CR とβ遮断薬の併用治療の有効性が示唆された.