論文ID: 23.16-00019
【目的】当施設での冠動脈バイパス術 (CABG) におけるPAS-Port (Cardica Inc, Redwood City, USA) の使用について,その使用状況と遠隔期成績を調査したので報告する.【対象と方法】2004年1月から2015年6月までの間に当施設で施行した,PAS-Portを使用した心拍動冠動脈バイパス術 (OPCAB) 226例,261本を対象とし,遠隔期生存率および脳心血管イベント (MACCE) 回避率を調査した.【結果】退院時造影検査では,評価可能であった228本の開存率は98.7%であった.遠隔期生存率は1年94.4%,5年81.7%,10年56.7%であった.MACCE回避率は1年94.8%,5年76.1%,10年59.2%であった.【結語】CABGにおいて,動脈硬化の進行によりPAS-Portを使用せざるを得ない症例でも,早期開存率,遠隔期生存率,MACCE回避率は良好であり,PAS-Portは妥当な手段と考える.