2018 年 30 巻 p. 101-112
医薬品産業は重要なCSR活動として開発途上国における貧困や高死亡率に由来する社会課題の解決に参画している。その具体的な取り組みとしては医薬品へのアクセス向上(Access to Medicine=ATM)や保健医療へのアクセス向上(Access toHealth=ATH)といった活動があるが,国連SDGsなど地球規模のサステナビリティを追求する流れと相俟って注目されている。ATMやATHはCSV(価値共創)的な側面を持ち,社会課題を解決させるとともに,長期的な企業価値向上につながる可能性を持つ戦略的なCSR活動である。グローバル競争においても重要な活動であると考えられることから,わが国において最も先駆的な取り組みを行なっているエーザイ株式会社の事例を検証しつつ,わが国医薬品企業の課題を考察する。