2018 年 30 巻 p. 63-84
本稿の目的は,コンピュータベースのテキストマインニングを採用し,環境/社会パフォーマンスの良し悪しの違いによって,サステナビリティ報告の定性情報の中でも,最も重要なトップステートメントにおけるCSRレトリックに相違があるか否かを明らかにすることである。本稿では言葉による正統化の違いを,Castelló andLozano (2011) による戦略的,制度的,弁証法的からなる3つのCSRレトリックを採用した。その結果,「環境パフォーマンス」および「社会パフォーマンス」の良い企業は,「弁証法的CSRレトリック」を使用する傾向が見られた。他方で,「環境パフォーマンス」および「社会パフォーマンス」の悪い企業は,「戦略的CSRレトリック」や「制度的CSRレトリック」の使用傾向は見られたが,「弁証法的CSRレトリック」の使用傾向は示されなかった。これらの結果から,環境/社会パフォーマンスの良し悪しによる正統化の違いが示唆された。